三菱重工業 名古屋航空宇宙システム(通称 名航)の協力会社に伺った時の話だ。
偶然、同 工作機械事業部のN技師ともう一方技術者の方(お名前は失念した)がいた。
ひととおり話し終えた後、ふと先方の社長からその技術陣2人に相談があった。
「重工さん。
全く関係ない話で、なおかつ御社のマシニングセンタでなく恐縮なのですが
あるメーカの機械の揺れに困っています。加工精度も出ていません。
何か良い方法はないでしょうか?」
一人は言った。
「私はマシニングセンタの技術者ではございません。
それに他社のマシニングセンタの構造は分かりかねます。
お役に立てず申し訳ございません」
一方、N技師はこういった。
「そうですか。話は少しそれますが、ヨットは工作機械とは比べ物にならないくらい揺れます。
ヨーイング、ピッチング、ローリング等の様々な揺れが発生いたします。
しかし、ヨットにはジャイロという、フライホイールの様な金属板が回転しており
揺れを無理やり押し付けるわけではなく、逆方法の運動を与えて、揺れを相殺します。
無理やり揺れを抑えつけるのではなく、揺れを逃がす方法をメーカとご相談されてはいかがですか?」
私は思った。
「ちょっと待て。マシニングセンタにジャイロなんてつけられるわけはない。
それに問題が振動だとすると、案内面の精度や主軸の振れを疑うべきなのでは。
お金をかけないなら、加工条件を落とすのが一番だろう・・・」
と
ただぁ(粗品さんごめんなさい・・・)
私は気づいた。
先方の社長の目が輝いている。
尊敬のまなざしだ。
これが教養か。
技術者の格の違いを見せつけられた。
ちなみに、N氏もマシニングセンタの技術者ではないと聞く。
それからというもの、先方の社長はN技師のファン。
なにかあったら、N技師に相談していたらしい。
「他メーカの不具合なんで、一円の得にもならないじゃないか。販管費の無駄だ」
と言う方はいるかもしれない。
ただ、営業の方なら同意してくれると思うが
普通(普通という言葉は嫌いだが)、営業というのは
「ぜひ弊社の製品をPRさせてください!」
とテレアポをするのが普通だ。
(ちなみに、キーエンスさんは毎週月曜日は1日中、テレアポをしているらしく
そうすると、振られてもめげない鋼の心が出来上がるらしい・・・)
N氏は違う。
お客様の方が
「ぜひこちらへお越しください!」
とおっしゃっているのである。
ものを売る中で
「幾千の中からお客を探しだし」
「お客に立ち止まってもらい」
「話を聞いてもらう」
ことがなにより一番難しい。
これらをすべてお客様自ら、こちらへお願いしてくるのである。
嫌がるお客にプレゼンするのは苦痛でしかない。
出典:「三菱重工業株式会社 公式サイト (https://www.mhi.com/jp)」
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